結論を横取りする友人について
相談者様プロフィール
相談内容
数年前に職場の親睦会で飲みすぎてしまい、ギリギリ終電に間に合い席を確保することができたのですが、迫りくる睡魔に太刀打ちできず自分の降りるべき駅で寝過ごしてしまいました。「やばい」と思った時には既に手遅れ。払う必要のないタクシー代を惜しみながら次の停車駅を待っていたら、またウトウトとした心地の良い感覚に襲われました。
まどろみの中、うっすらと目をあけると「？駅」という名前の駅を通過したところでした。
文字通り、駅名が書いてある看板に「？」と記されており、「これはきっと夢だな」と認識し、結局終点までの睡眠旅行を楽しんでしまいました。
後日、どうしても気になり古くからの女性の友人（A子とします）に「ハテナマークの駅ってある？」と尋ねたら「アンタ前からスピリチュアルっぽい話よくするけど不思議ちゃんぶってるの？」的な棘のある言い方をされました。
納得いかず、私が使った（であろう）路線の始発から終点までの駅名を確認したのですが、当然のことながら「？」なんて駅は存在しません。
そこでシラフの状態で、実際に電車に乗って駅名が記載されている看板を確認したら「津駅」に答えがありました。
おおきな平仮名の「つ」の下に小さな漢字で「津」と書かれていたことで、私は錯覚を起こしていたのです。
ここまでは笑い話で済むのですが、後日この話をA子にしようと「こないだの？駅なんだけど」と言いかけたら「どうせ津駅でクエッションマークと見間違えたんでしょ」と先にオチを言われてしまいました。
私はもともと誰かと討論するのが苦手で、他人と意見が合わなければ私が引くスタンスをとっているのですが、A子が発した「不思議ちゃんぶってる」という失礼な発言を笑い話で終わらせようとしてあげた私の心を彼女が踏みにじったように感じて、とてもモヤモヤしています。
私の心が狭いのか、友人のデリカシーがないのか。
お答えして頂ければと思います。
世界一役に立たない回答
戦争を経験されたことのないあなたには理解できないでしょうが、A子さんの様な人の話の結論だけをかっさらうことに良心の呵責を感じない層は遥か昔から存在します。
多少荒れた国会中継をご覧になればわかりますが、人の話の腰を折って自分の意見を貫く姿勢を見せる輩は共通して、瞳の奥に獣を飼っているものです。蓮舫とか。A子さんも蓮舫も、人の話を最後まで聞くと死ぬ病にかかっている、そう認識して下さい。オチを奪うことでしか生き永らえることの出来ない憐れな人種だと、寛大な気持ちでお付き合いを続けて頂ければと思います。
しかし、ほとんどのケースにおいては上記のような受け手側の心の持ち方で対応可能なのですが、我々有識者の間でも一点危惧していることがございます。
人の話を最後まで聞かない層というのは、前述の国会議員のように「言葉の物量と声量で相手を蹂躙する作戦」を好んで用いるオラオラ系と相場が決まっていたのですが、リーマンショックあたりから新種株が登場したのです。
「コミュニケーションをジャックする」という行為そのものは共通しているのですが、「会話のイニシアチブをとる」目的を持つ従来型に加え、「相手の言いたいことを汲み取りすぎてウザがられる」新型が増殖し出したのです。
早期退職や派遣切りが流行した時代、さらに上司からの叱責という重圧に耐えきれなくなったサラリーマンたちが苦肉の策で考案されたのが新型なのです。
上司からの説教の最中に相手が何にブチギレているかをいち早く察知し、畳み掛けるように過去に犯した自分のミスを合わせて謝罪することで相手の憤怒ボルテージを一時的に下げる意図があるのですが、上司がせっかく忘れかけてくれた自分の過ちを自ら蒸し返す諸刃の剣とも言える作戦です。
これを知らず知らずのうちにプライベートの場で用いてしまう方が一定数見受けられるのです。過剰なまでの「あなたの言いたいこと、私は全部わかっているよ」アピールは時代が時代なら強制わいせつ並の不快感を相手に植え付ける可能性を孕んでいます。
おもてなしが結果的に人間関係の崩壊へと繋がる可能性を生み出す皮肉な結果となるのです。
冗談ではなく、おもてなしの先取りが生み出す悲劇は会話だけに留まりません。
悲惨な事例ですと「あなたが初めての彼氏よ」と言ってくれた彼女と初めて行為を行う際に、サガミオリジナルを口で付ける特殊技能を披露されて心が折れた、というエピソードがございます
きっと彼女様はananやゼクシィの「彼氏が喜ぶ行動」みたいなアホな特集から仕入れた情報がパートナーの笑顔を見せてくれる、という幻想を抱いたのです。
分かってらっしゃらない女性が多いですが、一見どんなものでも穿ち抜けるかのような棒であっても、行為の最中にパートナーから過去の男性の影がチラつくと、授業中に当てられたシャイな女子みたいに一気に縮こまってしまうものなのです。本当にやめて頂きたい。
私情を挟んでしまい大変申し訳ないのですが、ご友人のA子さんも、ひょっとしたら良かれと思い、あなたの言いたいことを先に述べてしまったのかもしれません。
もしそうだとしたらA子様の行動の根幹にあるのは「マウント」ではなく「愛」なのです。
友人関係を長く続けていてもその友人の良いところがすぐに出てこない、なんて話をよく聞きます。でも長く一緒にいられるには、文字に起こせなくてもそれなりの理由があるものです。
今までの付き合いの中に一つでも、楽しかった思い出が存在するならもう少しだけ、A子さんの言葉の源を探ってみてはいかがでしょうか？そして避妊具の話になったら「それは男の子に任せたら？」とさらっとアドバイスしてあげてください。
私はこれ以上、心因性EDの男性が増えることに耐えられないのです。どうかお願いします。あなたに日本の出生率問題がかかっている、といっても過言ではないのです。
あなたの幸せを心から祈っております。
遠藤 俊通
