爪垢は苦手

画力に問題がありますがお許しください。

私の服装にケチをつける母

相談者様プロフィール
20代女性/独身/さそり座/Bカップ

 

相談内容
母について相談させてください。
母は昔から私の持ち物、特に服が気になって仕方がないようです。私が何か新しい物を買うとすぐに気がつき「またブラウス買ったの?そっくりなのが家にあるのに!」とか「こんな色はあなたに似合わないよ!」など、必ずチクリと言われます。新しく買った物に弾んでいた心が母の一言により、一瞬でしぼんでしまうのです。
私は大学を卒業後上京する為に実家を出たので、最近はそのようなことを言われる機会は減りましたが、帰省時には必ず私の服のラベルを確認し「あんな若い子向けの店でなぜ買うの?」とか「こんな薄い生地の服の良さが全くわからない!」など変わらずチクリと言われます。
そして、ここからがよくわからないところなのですが、次に私が帰省すると、母は前回私に散々ケチをつけた服とそっくりのデザインのものや、同じブランドの服を着ているのです。これはどのような心理なのでしょうか? 
 
世界一役に立たない回答
娘に限らず、親が子供の服装に口を出す行動原理については、いつの時代においてもある程度固まった答えがあるものでございます。
年頃の娘に対しては、露出が多くだらしない、ピアスは不良っぽい、金髪は貞操観念を疑われる、というものが王道ですが、自分が人の親ではなかった時代に叶わなかったファションを娘が実践していることに対する嫉妬、なんて意見も耳にすることがございましょう。
このあたりは子供の性別によって大きな差異が生まれがちです。例えば、腰パンの息子に難色を示す親の心理の源にあるのが嫉妬、というのはなかなか考えづらいものですし、仮に母親が腰パンで町内会に出席し始めたら、それは子供の服装に対する憧れではなく、痴呆か宗教を疑うべきです。

一つ、気がかりなのは子供の服装を批判した上で真似をする、という行動の根源にあるものが「羨望」か「憎悪」かによって導かれる結論が大きく異なるということです。

西暦1500年頃、中国地方の大部分を統治する尼子経久(あまごつねひさ)という武将がおりました。彼は戦国大名としての大きな素質を持ち合わせていましたが、家臣に対して節制・倹約を徹底させていたため、一部から支持されなかったようです。そこで彼は不満を持つ優秀な家臣に対し、自分の持つ着物、脇差し、挙げ句の果には屋敷の松の木までを与え続けることで(上司から持ち物を拝領することは武士として最上級の名誉であった)家来の心を掴み、結果的に経久の行動を自発的に模倣する武士が増え、領内の政治は安定し民から高い支持を受けることになったというエピソードがあります。
これが、親が子供の服装に対して「批判」から「模倣」に変化した動機が「羨望」である根拠となる逸話です。 このパターンの場合は、貴方がBカップであっても、胸を張って生き続けてほしいと思います。確かに日本では巨乳が偉い、みたいな風潮がありますが、そんな世論に負けない強い力をあなたが持ち合わせている根拠でもあるのです。
どんな一面であれ、他人から羨ましいと思われる人間には大きなパワーがあるのです。

私が危惧しているのは「模倣」の理由が「憎悪」であるパターンです。
1582年、織田信長重臣明智光秀によって本能寺で死に追いやられました。謀反の理由は諸説ありますが、あらゆる説の裏に存在するのが「信長はめっちゃ凄いけどヤツの上位互換がワシだ」という光秀の強い自信です。強すぎる影響力は時に悪意へと変化するのです。

①批判→②同調→③導入→④暗示→⑤深化→⑥解除

上記は催眠術や洗脳に共通するプロセスなのですが、ご相談の段階でファッションに対する批判が完了し(①)、あえて服装を真似し(②)、実家に帰るたびに見せつける(③④)、とかなりの段階まで到達しています。
第5ステージにまで進んでしまうと、もはや自分で催眠を解くことは厳しいと思って下さい。「解除」できるのは母親か、第三者である父親だけですが、妻や年頃の娘に対する服装に関して、家庭の男は無能以外の何物でもありません。ものの例えではなく、本当に何の役にも立ちません。お父様がどんなアクションを起こそうが事態が好転することは無いでしょう。

お母様が本能寺の変を起こす前に、「憎悪」が殺人事件に発展する前に、あなたが光秀になる必要があります。老いたDを若いBが討つのです。どちらが真の上位互換か、理解させる必要があるのです。

「こげんおっぱいでも、あたし東京でがんばっとるけん。」とアピールし、それが見栄やハッタリでも構いませんが、その見栄に近づき、お母様の士気を下げることが、令和流本能寺の変であり、最大の親孝行であると私は思うのです。

あなたの幸せを心から祈っております。

遠藤 俊通